青木惠子さんの国賠は最終章かと思いきや、まだまだ終わらない。

27年前の平成7年、大阪 東住吉区の青木惠子さんの自宅で火事が起こり、小学生だった青木さんの長女が死亡してしまいました。青木さんは、7Lのガソリンを自宅のガレージに撒いて火をつけたとして、放火殺人などの罪に問われ、無期懲役の刑で20年服役しました。7Lのガソリンに火をつけたら、自分が大火傷を負います。平成28年に裁判がやり直され、無罪が確定しました。

青木さんは警察の取り調べで嘘の自白をさせられ、20年以上不当に拘束されたなどとして、大阪府と国に賠償を求める国賠を起こしました。昨年の裁判では青木さんを犯人に貶めた大阪府警の坂本元刑事に対して、青木さん本人が尋問する場面がありました。
「あなたは今でも私が犯人だと思っているんですか?」
「今でも犯人だと思っています」
「私に無罪判決を出した裁判所を侮辱するんですか?」
「あなたは気持ちよく自白してくれたじゃないですか!」
「嘘は結構です。あなたはこうやって机を叩いて私を脅しましたよね!」
「やってません」
「顔を真っ赤にして唾を飛ばしながら大声で怒鳴りましたよね!」
「いいえ」
閉廷後、坂本刑事は退職した大阪府警に逃げ込みました。

裁判官は国や府が不服申し立てが出きないようにと、異例の和解勧告をしました。和解なら検察側に不服申し立てをできないようにすることができるからです。しかし、この提案に対して検察側が和解を拒否。そこで3月15日に判決日を迎えたわけです。

青木さんの完全無罪を世間に知らしめ、名誉を回復するとともに、国と府に謝罪させようと考えた裁判官ですから、皆が完全勝利を信じ、期待していました。ところが、嘘の自白をさせた警察の取り調べは明らかに違法だとして府に1200万円余りの賠償を命じると同時に、青木さんを起訴した検察(国)の責任は問わないという、摩訶不思議な判決になりました。「なに、それ?」という、まさに片手落ちという印象で、まったく納得できないものでした。 青木さんに寄り添っている最高の裁判官だと思っていましたが・・・、裁判官が何を考えているのか、ますます分からなくなってきました。

大阪府警は「内容を精査した上で、今後の対応を決めたい」とコメント。青木さんに対する謝罪はありませんでした。大阪地検は「国の主張が認められた」と、反省の欠片も見せない腹立たしいコメントを残しました。 真っ白な完全勝利を求める青木さんは「冗談じゃないわ」と控訴。

国賠はまだまだ続きます。青木さんの裁判のニュースをまだ観ていない方は下記をどうぞ。 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220315/k10013532661000.html