再審法改正は今国会では見送り、継続審議となったことへの声明
6 月 22 日、国会は閉幕した。昨年 3 月に超党派による「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」が発足し、『早期に実現する』の言葉通り、今国会での議員立法を目指した。会期も終盤に入りぎりぎりの攻防の末、野党 6 党により法案は提出された。しかし審議に入れぬまま先送りされた、冤罪犠牲者の失望はとてつもなく大きい。
再審が開かずの扉と言われたのはひとえに法の不備に依るものである。当会が 6 年前に
発足した背景には「もう個別の事件を闘うだけでは冤罪を救うことはできない、システムの不備を糺すことが必要だ」という共通認識があった。
議員連盟ができるよりもずっと前から、私たちの仲間はこの犠牲の大きさ、家族もろとも人生を奪われ続ける理不尽さ、その上再審制度は実質的にほとんど機能していないことを、身銭を切って訴えてきた。その声を法務省も最高裁も無視し続けたからこそ、議員連盟ができたのだ。当会発起人の布川事件冤罪犠牲者である故 桜井昌司氏は、再審法改正は議員立法でしか達成しえないことを生前断言していた。法制審に対する根深い不信感があるからだ。10 年ほど前に改正の必要性を訴えていた取り調べの可視化が法制審で俎上に上がった。多くの批判がありながら、可視化はごく一部の事件に絞られたあげく、司法取引とセットにされた法改正だった。結局法務検察は可視化を迫られながらも向き合わず、法改正を自分たちの権力拡大に利用してきた前科があるのだ。命を預ける機関でないことは明白だ。
今回党内手続きと法案提出を見送った自由民主党、公明党、日本維新の会が、法務検察とどういったやり取りや駆け引きがあったのか知るすべもないが、私たちの必死の訴えを聞いていながら黙殺したのだ。86 歳で無念の死を遂げた石川一雄さん、再審開始の報を聞くために必死に命の灯を燃やし続ける 98 歳の原口アヤ子さん、兄の無念を晴らそうと更なる闘いを準備する 95 歳の岡美代子さんら高齢の冤罪犠牲者に向き合わず、法改正を政治の道具として利用した者たちを、私たちは絶対に許さない。
法案の共同提出に尽力した立憲民主、国民民主、れいわ、共産、参政、社民各党、そして与党のごく一部の議連議員には感謝を表明したい。何としても秋の臨時国会での成立のために、今一度立て直し、尽力してもらいたい。国会は唯一の立法機関であることの責任を果たすべきだ。当会はそのための協力を惜しまない。
2025 年 6 月 23 日 冤罪犠牲者の会 事務局一同