飯塚事件の再審請求棄却に対する抗議声明

本日、福岡地方裁判所 鈴嶋晋一裁判長は飯塚事件の再審請求に対し、棄却という不当な決定を出した。私たちの仲間で死刑執行されてしまった久間三千年さんの無実を明らかにする証言に向き合わず、保身に走る不当な決定に対し、強く抗議する。

そもそも確定審の証拠の柱はDNA鑑定であった。それは足利事件の菅家さんを有罪にしたものと同じ鑑定方式であり、なおかつトリミングされていたことが第1次再審請求審の段階で明らかになった。しかも鑑定試料が残されておらず、再鑑定が不可能というのも何度でも批判されるべきである。結果DNA鑑定は証拠から排除された。しかしながら八丁峠の証言などから有罪は崩れないとした。

今回証言をされた2名の方は第2次再審段階で突然現れたわけではない。木村さんは事件当時から警察に情報を提供していたのである。しかし久間さんとは別人物のため早々に証拠から排除してしまった。久間さんが冤罪と知って、自責の念に駆られ第2次段階で名乗り出てくれたのである。

またもうお一人の女性の証言について裁判所の決定では「女性の調書が作成されたのは、事件発生からおよそ10日後で捜査が流動的な状況にあったにもかかわらず、捜査機関が無理に女性の記憶に反する調書を作成する動機や必要性は見いだせない。女性の証言は変遷しており記憶が一貫性のない不確かなものである可能性が高い」とある。

八丁峠の証言をもう一度見直すがいい。車の特徴が日を追うごとに詳細になっている。日を追うごとに久間さんの車に近づいている。こんな不自然な証言こそ裁判所が言う「信用性のない証言」である。裁判所のダブルスタンダードは許されないはずだ。また今回も白鳥決定をないがしろにする決定だった。最高裁の判例違反であることは明白である。

久間さんは死刑判決確定からわずか2年、再審請求準備中にもかかわらず死刑執行されてしまった。久間さんばかりかご家族の無念は到底計り知れない。無実の人を殺した警察・検察・裁判所は許されない。私たちは罰則規定も視野に責任を追及していく。

蛇足だが、飯塚事件第1次再審請求を棄却した最高裁第一小法廷は下級審裁判所に対する圧倒的な影響力を考えるとき、この5人の裁判官(裁判長・小池裕、裁判官・池上政幸、木澤克之、山口厚、深山卓也)のやったことは、あまりにも罪深いので追記しておく。

弁護団は即時抗告を表明した。私たちの会は、久間さんのご家族、支援者、弁護団に最大限の敬意を表明し、久間さんの雪冤を晴らすまで連帯していく。
2024年6月5日 冤罪犠牲者の会 事務局一同