大崎事件の第4次再審請求に対する棄却を許さない
2019年6月25日、最高裁判所は不当にも鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の再審開始決定を取り消して原口アヤ子さんの第3次再審請求を棄却しました。
第4次再審請求にあたり、弁護団は最高裁が指摘した「出血性ショックを明らかにする客観的証拠がない」、「死亡時期に関する言及がない」、「死体遺棄の存在、近隣の客観的状況から親族による殺人事件と考えるほかない」という指摘にこたえる新証拠を示してきました。その中身は①解剖写真の中に大量出血を明らかにするものがあること、および被害者が側溝への自転車転落事故により、頚髄が損傷しており、近隣住民が被害者宅に運んだとされる午後9時ころに、被害者は頚髄損傷に起因して亡くなられた可能性が高いことを明らかにした澤野誠教授の医学鑑定書であり、さらに、②被害者を家に運んだ近隣住民の供述に疑義があるという、供述に関する高木光太郎・大橋靖史教授、および、稲葉光行教授による2通の鑑定書です。
しかし、今回の鹿児島地裁(中田幹人裁判長)は「弁護団の新証拠は無罪を言い渡すべき新証拠に当たらない」と再審請求を棄却しました。大崎事件が交通事故死を無理やり殺人事件にでっち上げたものであることを示す科学的根拠を精査もせず、無視したものです。
第1次再審請求の鹿児島地裁決定を入れると、大崎事件は3度も再審決定を得ながら検察の再審開始妨害と裁判所の誤った判断により、いまだに再審公判に入れないという異常事態にあります。
1979年以来、「あたいはやっちょらん」と一度たりとも容疑を認めたことがない原口アヤ子さんの再審請求を棄却する合理的理由を裁判所は国民に示せるのでしょうか。甚だ疑問です。私たちは今回の再審請求棄却に対し、満身の怒りをもって抗議するものです。
2022年6月22日 冤罪犠牲者の会