内藤検事正の発言に対する緊急抗議声明

 抗議声明

この度、鹿児島地方検察庁検事正として着任した内藤秀男検事正は、その着任記者会見で「大崎事件の第4次再審請求では報道側の原口さんへの寄り添いが顕著だ。万が一、原口さんが犯人ではないということを証明するあまりに、具体的にこの人が犯人だという報道をされると大変な人権侵害になる」と発言しました。
私たち冤罪犠牲者の会は、このような恫喝と思える不当な検事正の発言に対して強く抗議します。
内藤検事正は「第3次再審請求をよく知っている。最高裁判所の判断は重い」とも語りましたが、もし本当に最高裁の判断を知るならば、報道が原口さん寄りだとか、人権侵害だとかの言葉は出るはずがないのです。
そもそも大崎事件弁護団、これまでの再審請求では原口さんたちの無実を立証することだけに限定して死体遺棄犯の問題には触れませんでした。それは人権問題の発生を考慮したからです。ところが第3次請求を棄却した最高裁判所は「死体遺棄の犯行は被害者を運んだ人たちとは考えられず、原口さんたち以外にいない」とする判断をしました。
その最高裁判断があればこそ、弁護団は被害者を車で搬送した人たちの行為や状況説明にある食い違いを指摘したうえ、最高裁判所の判断こそが誤りであることを指摘せざるを得なくなって「死体遺棄行為犯の存在」を主張したものです。そして、その弁護団の主張が正鵠を得たものと理解した報道は、報道の使命として社会に知らせているだけのことです。
もし本当に内藤検事正が第3次請求の経過を承知すると言うのならば、報道された第4次請求内容を加味して考慮したとき、検察も原口さんの無実を見抜いて弁護団の請求に同調して再審請求を申し立てる側に立つべきだろうと考えます。もとより、マスコミを恫喝するような発言などは、絶対に出来ないはずだと考えています。
何があっても検察が正しいとして過ちを認めない姿勢こそが、冤罪を生み出す原因であると考える私たちは、この内藤検事正の発言も同じ過ちであり、不利な状況を検察の権力を持って封じ込めようとする不当な発言であって、絶対に容認できません。納得できません。
内藤検事正は、その誤った認識を改めて発言を取り消し、謝罪するように強く求めます。

2020年9月18日
冤罪犠牲者の会